④ 反論する方法 【ジャブ編 3 】
成功事例はあるのか
物事は100%良いということはあり得ないわけで、少しでもマイナス部分をあぶり出すことができれば、そこに反論の余地が生まれる。ただし、相手の主張の中で瞬時にマイナス要素を見つけるには、それなりの情報量がないと無理だし、時間をかけないことにはやはり難しい。
そこで効果を発揮するのが、他の成功事例を問うことである。
「同じようなサービスで、すでに成功している会社を教えてください。」
ここで注意しておきたいのが、YESかNOか、有りか無しかを尋ねる質問形式で終わらないこと。
「同じようなサービスで、すでに成功している会社はありますでしょうか?」
こういう質問形式と前述のものを比べてみると、前述の質問のほうが何となく「当然そういう事例はあるんでしょうね。」というニュアンスを暗に含ませることができる。成功事例がある前提で話をしているという印象が伝われば、少しは相手にとって答えづらい質問となるのだ。
話は戻って、もし相手が「そんな事例は無い。」と答えれば、どういう展開になるだろうか。成功事例が無いということは、それだけ事業リスクがあることの裏返しだ。また、よほど真新しいことでもない限り、他社が取り組んでないのは何か理由があるはず。その辺りを掘り下げて質問していけばよいだろう。
成功事例があるということなら、その事例について詳しく聞いていくことで、自分の情報量、知識量が増えることなるため、これも結局はどちらに転んでも好都合なのだ。
類似している物事との比較
この場合、比較対象はなるべく規模の大きいもの、すでに完成形として確固たる地位を築いているようなものがよい。
「同じようなサービスで大手のAmazonがありますが、どこが違うのでしょうか?」
比較対象の規模が大きければ大きいほど、よっぽどの優位性やニッチな部分がなければ通用しない。単純に類似した物事を問うことで、いとも簡単にマイナス要素をあぶり出すこともできる。
失敗例を挙げる
前項で少し説明したが、まくし立てて主張する人というのは、物事のプラス面しか言わず、マイナス面が明るみに出ないうちに早く通り過ぎて欲しいという心境をどこかで持っている。失敗例があるという事実は相手にとってかなりの痛手であり、それを挽回するためには、どの点がその失敗例と違うのかを明確に説明する義務が生じる。それをしっかりと説明しないことには、失敗のイメージを払拭することはまず不可能だ。
以上のように、質問というジャブは、特に深い思考をせず気軽に打てることがわかる。相手の痛いところに当たれば儲けものという感覚で、最初はとにかく手数を出せるようにトライしよう。ジャブによって局面を打開すれば、反論の狼煙は自ずと上がってくるはずだ。