② 反論する方法 【ジャブ編 1 】
前回の記事:① 反論する方法
単純な質問をしよう
単純で根本的な質問を返すこと。しかも質問は単純であればあるほどいい。効果的な反論方法として、まずはこれを挙げてたい。
反論できない人というのは、日常あまり質問していないことが多い。一つの理由として、場違いなことを言って恥をかいたり馬鹿にされたりしないかという意識が働くからだ。
しかし、単純で根本的な質問の場合は論点からあまりズレる心配はなく、あらゆるシーンで活用できる万能テクニックといえる。向こうから聞かれたことに対して馬鹿正直に答えてばかりいる必要はない。ごくごく単純な質問を返すだけで相手がひるんでしまうことはよくある。
たとえば、
「○○はどういう意味ですか?」
「そもそも○○ってどういうことか教えてもらっていいですか?」
「何が問題になっているのでしょうか?」
「そもそもなぜこれをやるんですか?」
こういった質問というのは、尋ねられた側からすると答えに窮することが多い。
たとえば、バイト先の新人に仕事を教える場面で「なぜこれをやるんですか?」などと質問されて言葉に詰まった経験はないだろうか。初心者の発する素朴な質問は時として核心を突いていることが多く、物事の本質をしっかりと理解していないと答えられないことが多い。
しかも、物事の根本を突き詰めていくと、無駄なことや矛盾していることがよくある。相手が根本を理解していないのにもかかわらず、こちらの質問に対して喋り出すことになるとすれば、話の中で自ら墓穴を掘ることもたまにあるのだ。
また、ちょっとした専門用語を多用する相手に対しては、「そもそも○○ってどういうことか教えてもらっていいですか?」という質問で相手の弁舌を封じよう。この「そもそも論」はかなり効果的で、うまくいけば、それだけで相手を「うっ…。」と黙すことができる。
もっというと、返答するのを断られたり、うやむやにされないために、こちらは大げさに謙遜した態度で質問するのがいい。
「すみません、○○という言葉だけは知っているのですが、ぜひこの機会に教えてもらえないでしょうか?」という感じで、相手が返答を避けようにも避けらない状況にしてしまうのだ。
とにかく何でもいいから素朴な質問を心がけよう。まずは質問というジャブを打てるかどうかが反論では大きなポイントとなるのだ。
質問は長考の時間も作ってくれる
「議論」というのは互いの主張のぶつかり合いである。一方的な主張、要求に対して黙って聞き入れている状態から、私たちは、まずは議論できるステージへ移行すべきなのである。
そもそも黙って聞き入れてしまう理由は、とっさに反論が思いつかないからである。後からよく考えると、「あの時こういう風に反論したらよかった。」と後悔することはとても多い。少しでも考えるが猶予があったとすれば、それだけ反論の余地が広がるのは明らかだ。
質問によるジャブは、相手に喋らせる機会を作る。少なからずこちらに思考する猶予を与えてくれるのだ。この時間的余裕は、次の反論の一手を考えるのに有利に働く。
長考できる時間をなるべく多く作ることは、どんな場面でも重要となってくる。単純な質問は、その布石として大きな役割を担っているのだ。
次号へ続く: ③反論する方法【ジャブ編 2 】
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