③ 反論する方法 【ジャブ編 2 】
前回の記事:② 反論する方法 【ジャブ編 1 】
距離を保ちながら軽く放ったジャブも、当たり所がよければ相手がふらついてしまうことがある。論戦も同じことで、特に深い思考が伴わない軽いジャブを打ち続けていると、相手の急所を捕えてしまうこともしばしばあるのだ。
ここでは、前号の「単純で根本的な質問」以外の効果的なジャブの打ち方について、いくつか列挙していきたい。
5W1Hを駆使した質問攻撃
「あの時、こう言えばよかったのに…。」
相手からの執拗な質問に対して、馬鹿正直に答える義務は一切ない。逆にこちらから質問をぶつけ、一つの質問が終わったらまた次の質問へと波状攻撃のように繰り出そう。
その際に重要なのが「5W1H」。
「なぜそのように考えたのですか?」
「場所はどこで行われるのですか?」
「その作業は誰がやる予定ですか?」
「何をすればそのような結果になるのですか?」
「どのように展開していくつもりですか?」
一つの物事に対して、少なくともこれだけの数の質問は返せるわけである。
これらの質問にすべて答えるとなれば、さすがに相手もいらいらしてくる。だからこそ、質問の仕方には工夫を凝らすのだ。なるべく相手の自尊心をくすぐるように努める。そのために、こちらはどこまでも謙遜した態度で質問するのが望ましい。
「すみません、勉強不足なものですからちょっと教えてもらってよろしいですか。」と前置きしてから質問する。相手が感情的になってしまって答えることを放棄しないように事を運ぶのが大切だ。
数的根拠を聞く
大声でまくしたてる人は、総論で話をしてくることが多いため、こういった細かい数字の質問を嫌がる傾向がある。
「それは具体的にどれくらいの売上を見込んでおられますか?」
「これにかかる初期費用とランニングコストはいくらですかね?」
万一これに答えられたとしても、数字の質問は次なる波状攻撃を可能にする。
「その売上の根拠はどういう計算方法からでしょうか?」
「そのランニングコスト以外に人件費や運営費はどのくらいかかるでしょうか?」
これほどの数的根拠を頭に入れている人はさすがにいない。質問を重ねることによって、たぶん相手はいらいらしてくるだろう。議論で感情的になられても仕方ないので、あくまで丁重に質問することにしよう。相手が返答を断ろうにも断れない状態に持っていくのだ。こちらは大げさに謙遜するくらいがちょうど良い。
図に描いて説明してもらう
図に描いて説明してもらうという方法も効果的だ。早口や大声で迫ってくる人は、議論を勢いでねじ伏せようとしている。逆をいえば、冷静になって筋道を立てて話をすることが苦手なタイプなのだ。
図に描くという行為は、これも物事の本質を理解していないとできない。もし仮に図を描いてきちんと説明できたとしても、それによってこちらの理解がさらに深まるため、結局どちらに転んでも好都合なのだ。
この方法のメリットは次の通り。
・本質を理解していないため、相手が自滅する可能性がある
・図を描き慣れていないため、相手が自滅する可能性がある
・早口や専門用語など、よくわからない部分について自分の理解を深められる
・自分の知らない情報を引き出すことができる
いつも「うまくいく人」の反論の技術―コツさえつかめば自分のペースで会話が進む
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