「不動心」育成ブログ

自分はダメだと感じている人は、実は向上心のある人。自分の弱さを知っているからこそ、人に優しくなれる。自分本来の素晴らしさを発見し、どんな環境にも動じない「不動心」を育成するブログです。ツイッター@shirota_usao

③ 反論する方法 【ジャブ編 2 】

 前回の記事:② 反論する方法 【ジャブ編 1 】

 
前号では、素人がするような単純な質問が反論する上で効果的であることを取り上げた。これは、ボクシングでいうところのジャブを打つ動作と同じで、攻撃へ転じるための布石をいろいろな角度から探っているわけである。

 距離を保ちながら軽く放ったジャブも、当たり所がよければ相手がふらついてしまうことがある。論戦も同じことで、特に深い思考が伴わない軽いジャブを打ち続けていると、相手の急所を捕えてしまうこともしばしばあるのだ。

 ここでは、前号の「単純で根本的な質問」以外の効果的なジャブの打ち方について、いくつか列挙していきたい。

技は多いほうがいい。場面によってこれらをうまく使い分け、次なる攻勢への布石として大いに活用しよう。

 

5W1Hを駆使した質問攻撃

反論の基本は、自分が喋るのではなく、いかに相手に喋らせるかである。喋れば喋るだけボロが出てくるし、自分の知らない情報を引き出せる可能性がある。しかも、反論するための時間を稼ぐことが可能だ。

 「あの時、こう言えばよかったのに…。」

後から思い返せば反論の余地があったにもかかわらず、とっさにそれが思いつかなかったということは多い。反論する場面では、考える時間が多ければ多いほど、結果としてこちらに有利に働くのだ。

 相手からの執拗な質問に対して、馬鹿正直に答える義務は一切ない。逆にこちらから質問をぶつけ、一つの質問が終わったらまた次の質問へと波状攻撃のように繰り出そう。

 その際に重要なのが「5W1H」。

これを意識しておけば、とりあえず質問に困ることはない。なぜ、いつ、どこで、誰が、何を、どのように…というやつである。

 「なぜそのように考えたのですか?」

「それはいつ決まったのですか?」
「場所はどこで行われるのですか?」
「その作業は誰がやる予定ですか?」
「何をすればそのような結果になるのですか?」
「どのように展開していくつもりですか?」

 一つの物事に対して、少なくともこれだけの数の質問は返せるわけである。

 これらの質問にすべて答えるとなれば、さすがに相手もいらいらしてくる。だからこそ、質問の仕方には工夫を凝らすのだ。なるべく相手の自尊心をくすぐるように努める。そのために、こちらはどこまでも謙遜した態度で質問するのが望ましい。

 「すみません、勉強不足なものですからちょっと教えてもらってよろしいですか。」と前置きしてから質問する。相手が感情的になってしまって答えることを放棄しないように事を運ぶのが大切だ。

 

数的根拠を聞く

数字による具体的説明を求めることも有効だ。
大声でまくしたてる人は、総論で話をしてくることが多いため、こういった細かい数字の質問を嫌がる傾向がある。

 「それは具体的にどれくらいの売上を見込んでおられますか?」

「利益率はどのようになっているのでしょうか?」
「これにかかる初期費用とランニングコストはいくらですかね?」

 万一これに答えられたとしても、数字の質問は次なる波状攻撃を可能にする。

 「その売上の根拠はどういう計算方法からでしょうか?」

「利益率30%ですか。業界の水準と比べてどうなんでしょうか?」
「そのランニングコスト以外に人件費や運営費はどのくらいかかるでしょうか?」

 これほどの数的根拠を頭に入れている人はさすがにいない。質問を重ねることによって、たぶん相手はいらいらしてくるだろう。議論で感情的になられても仕方ないので、あくまで丁重に質問することにしよう。相手が返答を断ろうにも断れない状態に持っていくのだ。こちらは大げさに謙遜するくらいがちょうど良い。

 

図に描いて説明してもらう

「申し訳ありません。私がまだ十分理解できていませんので、図に描いてもらうなどして説明していただけないでしょうか?」

 図に描いて説明してもらうという方法も効果的だ。早口や大声で迫ってくる人は、議論を勢いでねじ伏せようとしている。逆をいえば、冷静になって筋道を立てて話をすることが苦手なタイプなのだ。

 図に描くという行為は、これも物事の本質を理解していないとできない。もし仮に図を描いてきちんと説明できたとしても、それによってこちらの理解がさらに深まるため、結局どちらに転んでも好都合なのだ。

 この方法のメリットは次の通り。

 ・本質を理解していないため、相手が自滅する可能性がある

・図を描き慣れていないため、相手が自滅する可能性がある

・早口や専門用語など、よくわからない部分について自分の理解を深められる

・自分の知らない情報を引き出すことができる

・描かれた図から矛盾点を見つけられる可能性がある

・反論を考えるための時間を稼げる

 

図に描くことを相手が了承すれば、これだけたくさんのメリットを享受できるのだ。ダメもとでもお願いしでみる価値は十分にある。
 

 

いつも「うまくいく人」の反論の技術―コツさえつかめば自分のペースで会話が進む

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